| ヨーロッパの版画の歴史は、紙の伝来に伴い14世紀末に始まります。15世紀前半には木版だけでなく、銅版によるより精度の高い版画がつくられます。当時花開いたルネサンスが各地に拡がるように、版画もまた広く伝播していきました。ルネサンス文化とともに誕生した版画には、宗教、文学、道徳、政治、寓意のほか、地理や宇宙、不思議、科学、自然、解剖学など、人間を取巻くあらゆる事象から得た多くの題材によって、多くの版画家が紙の上に小さな宇宙を作り出しました。今回は15世紀に登場したドイツのデューラーをはじめ、16世紀フランドルのブリューゲル、17世紀オランダのレンブラント、フランスのカロ、18世紀スペインのゴヤ、19世紀のルドンやビアズリー、20世紀のルオー、ピカソ、エッシャーまで、各時代の代表的版画家・画家の作品を一堂に会して展観するものです。一人の個人コレクターが連綿とつながる西洋版画の歴史を追い、50年の歳月をかけて築きあげたコレクションは、西洋版画の歴史を十全に拾いあげ、多様な作家、時代と技法の選択を一つの審美眼で貫いています。鋭利で繊細な線によって描き出される自然や、人間の姿、博物の世界は、まさに版画を読む楽しみを私たちに教えてくれます。 |